お米便り

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令和の米騒動から2年|「米余り」に転じた2026年のいま

2025.03.17

執筆:お米便り編集部(株式会社ゆうき ゆうきや事業部)

最終更新:2026年8月7日/出典の確認日:2026年8月7日

2024年、スーパーの棚からお米が消えました。

「令和の米騒動」と呼ばれたあの出来事から2年。2026年のいま、状況は逆転しています。お米は余りはじめ、価格は下がる方向に動いています。

消費者にとっては歓迎すべきことです。ただ、同じ出来事を農家の側から見ると、まったく違う景色が見えます。

私たちはお米を販売している会社です。値下がりは売る立場としても複雑ですが、産地で起きていることを、都合の悪い部分も含めて書いておきます。

2024年に何が起きたのか(振り返り)

収穫期の田んぼ

まず、あのとき何が重なったのかを短く整理します。

  • 記録的な猛暑による品質低下と、精米時の歩留まりの悪化
  • インバウンドの回復などによる需要の増加
  • 一部の買い占め・買い急ぎによる、局所的な品薄
  • 在庫水準がもともと低かったところに、上の要因が重なった

つまり「絶対量が壊滅的に足りなくなった」というより、需要とタイミングのズレが重なって棚から消えた、という性質のものでした。

その後、価格は上昇を続けます。令和7年産米は玄米60kgあたり35,812円と、過去最高を記録しました。

2026年、局面は逆転した

高値が続けば、つくる側は増産に動きます。当然の反応です。そして2026年、その結果が数字に出ました。

項目 数値
主食用米の生産量(見通し) 732万トン
需要に見合う適正水準 711万トン
+21万トン

2027年6月末の民間在庫量は最大271万トンと見込まれています。適正とされる180〜200万トンを大きく超える水準です。

価格もすでに動いています。令和8年産の新米は前年比2割安の見込みという報道が出ています。

わずか2年で「足りない」から「余る」へ。これが今の局面です。

※ここに挙げた見通しの数値は、民間メディアの集計・報道によるものです。確定値ではありません。

消費者には朗報。では、農家は?

田んぼで作業する農家

ここからが本題です。

お米の値段が下がれば、家計は助かります。それは間違いなく良いことです。けれど同じとき、つくっている人の手取りは減っています。

コストは下がっていない

米価は下がりますが、生産にかかる費用は下がっていません。肥料代、燃料代、機械の更新費用、資材費。

高止まりしたコストと、下がる出荷価格。その差は、そのまま農家の取り分から引かれます。

増産した年ほど、単価が下がる

これが米づくりの難しいところです。

高く売れると分かって増産する。全体で採れすぎる。値段が下がる。努力して量を増やした年ほど、1俵あたりの手取りは減るということが起きます。

つくる人は減り続けている

そして根本的な問題として、農家の数そのものが減っています。

農林水産省の食料・農業・農村白書によれば、基幹的農業従事者の平均年齢は68歳を超えています。これは「あと何年続けられるか」という話が、すでに現実の期限として迫っているということです。

米づくりは、田植えと稲刈りだけの仕事ではありません。田んぼの水は毎日見ないといけないし、水路や畦の管理もあります。機械は高価で、更新には数百万円がかかります。

「今年は安かった」が数年続けば、続けられない人が出ます。一度やめた田んぼが元に戻ることは、ほとんどありません。

「安くなってよかった」で終わらせないために

私たちは、値上がりを応援したいわけではありません。ただ、お米の値段が「ただの数字」ではないことは、知っておいてほしいと思っています。

ゆうきやには、ひとつだけ順番として決めていることがあります。

食べる人の安心を守るためには、まずつくる人が安心して米づくりを続けられる環境が必要だ——という考え方です。

「食べる人のため」から始めるのではなく、「つくる人が続けられるか」から始める。米が余っても足りなくても、この順番は変わりません。

安いお米には安い理由があり、高いお米には高い理由があります。その理由が「品質」なのか、「手間」なのか、「流通」なのかは、袋を見ただけでは分かりません。

だからこのサイトでは、誰がどこでどうやって育てているかを具体的に書くことにしています。

たとえば私たちがお米を仕入れている長野県佐久市の市川さんは、化学肥料を使わずに土をつくり、機械への負担が大きい粘土質の田んぼをあえて選んでいます。

効率で考えれば、どちらも合理的ではありません。それでも選び続けている理由があり、その分だけコストがかかっています。

市川さんのお米づくりについて

いま、消費者にできること

大げさなことではありません。

  • 買うときに、産地と生産者を一度見てみる……袋の表示から分かることは意外とあります(お米を通販で買うとき、袋のどこを見ればいいか
  • 安いときにこそ、少し良いものを試してみる……価格が下がっている今は、普段より上のグレードを試しやすいタイミングです
  • 食べきれる量を買う……お米は保存中に品質が落ちます。買いだめより、こまめに買うほうが結果的においしく食べられます

まとめ

  • 2024年の米騒動は、猛暑・需要増・買い急ぎ・低在庫が重なって起きた
  • 令和7年産は玄米60kgで35,812円と過去最高を記録
  • 2026年は生産732万トンに対し適正水準711万トンで「米余り」へ転換
  • 令和8年産の新米は前年比2割安の見込み
  • 消費者には朗報だが、コストが下がらない農家には厳しい局面
  • 基幹的農業従事者の平均年齢は68歳超。一度やめた田んぼは戻らない

出典

この記事を書いた人

お米便り編集部(株式会社ゆうき ゆうきや事業部)。長野県佐久市の生産者・市川裕也さんのお米を販売しています。編集方針と運営者情報はこのサイトについてをご覧ください。

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