
執筆:お米便り編集部(株式会社ゆうき ゆうきや事業部)
最終更新:2026年8月10日/出典の確認日:2026年8月7日
お米を選ぶとき、「特A」という言葉を見たことがあると思います。
パッケージや通販サイトでよく使われていますが、これが何を意味しているのか、正確に説明できる人は多くありません。
私たちはお米を販売している会社です。だから正直に書きますが、特Aは「日本一おいしいお米」という意味ではありません。
この記事では、食味ランキングが誰によってどう決められているのか、そして実際にお米を選ぶときに何を気をつければいいのかを整理します。
目次
食味ランキングは、誰がどうやって決めているのか

実施しているのは日本穀物検定協会
「米の食味ランキング」は、一般財団法人 日本穀物検定協会が毎年実施している食味官能試験の結果です。
昭和46年産から続いており、全国規模で継続している食味の指標としては、事実上これひとつです。
令和7年産は144の産地品種を試験
直近の令和7年産では、2025年11月から2026年2月にかけて144の産地品種について試験が行われ、2026年2月27日に結果が公表されました。
評価は「基準米との比較」で決まる
ここが最も誤解されやすいところです。
食味ランキングは、絶対的な点数をつけているのではありません。「基準米」と比べてどうか、という相対評価です。そしてその基準米には、複数の産地のコシヒカリをブレンドしたものが使われます。
評価は、外観・香り・味・粘り・硬さ・総合評価という6つの項目で行われます。
| ランク | 意味 |
|---|---|
| 特A | 基準米より特に良好なもの |
| A | 基準米より良好なもの |
| A' | 基準米と同等のもの |
| B | 基準米よりやや劣るもの |
| B' | 基準米より劣るもの |
令和7年産の結果(2026年2月公表)
| ランク | 点数 |
|---|---|
| 特A | 43 |
| A | 71 |
| A' | 30 |
| B | 0 |
| B' | 0 |
144点のうち43点が特A。BとB'は1点もありませんでした。
品種別では、前年に最多だったコシヒカリが6産地品種、「にこまる」も6産地品種で並び、トップタイという結果でした。
ここが誤解されやすい:特Aは「日本一」ではない
売っている側として、はっきり書いておきます。特Aを絶対視しないでください。理由は4つあります。
① 相対評価であって、順位ではない
特Aは43点あります。その43点のあいだに順位はついていません。
「特Aを取った」は「基準米より良好と評価された」という意味であって、「1位」ではありません。
② 評価の単位は「産地品種銘柄」であって、農家ではない
たとえば「新潟県魚沼産コシヒカリ」が特Aだったとしても、それはその産地・その品種の代表サンプルの評価です。
魚沼のすべての農家のお米が特A、という意味ではありません。
逆に、特Aを取っていない産地にも、素晴らしいお米をつくっている農家はいます。
③ その年によって変わる
天候で毎年結果は変わります。去年特Aでも、今年はAということが普通に起きます。
「特A」とだけ書かれていて年産が書かれていない表示は、いつの評価なのか確認したほうがいいです。
④ 出品されていないお米は、そもそも評価されない
これがいちばん大事な点かもしれません。
食味ランキングは、出品された産地品種銘柄だけが対象です。生産量が少ない品種、地域限定の品種、そして個々の農家のお米は、評価の土俵にすら上がっていません。
つまり、「特Aではない」ことと「おいしくない」ことは、まったく別の話です。
では、何を基準に選べばいいのか

特Aを目安のひとつにするのは構いません。ただ、それだけだと自分に合うお米には辿りつきません。
私たちがおすすめしているのは、「好みの軸」で選ぶことです。
粘りと硬さ
お米の食べ心地は、おおまかに粘りの強さと粒の硬さで決まります。
| 好み | 向いている傾向 |
|---|---|
| もっちり、粘りが強いのが好き | コシヒカリ系 |
| あっさり、粒がしっかりしているのが好き | ササニシキ系、あきたこまち |
| 甘みを強く感じたい | つや姫、いのちの壱 など |
※品種の特徴は栽培地や年によっても変わります。上は一般的に言われている傾向です。
使う場面で選ぶ
- お弁当・おにぎり……冷めてもおいしいか
- カレー・丼もの……粘りが強すぎないほうが合うことがある
- 寿司……酢を吸ってもべたつかない、粒がしっかりしたもの
「いちばんおいしいお米」を探すより、「この食べ方に合うお米」を探すほうが、満足度は高いというのが実感です。
産地よりも、精米してからの日数
意外に見落とされますが、同じお米でも精米から時間が経つと味は落ちていきます。
特Aの銘柄を選んでも、精米から数か月経っていれば、精米したてのA評価のお米に負けることは普通にあります。
袋の見方については「お米を通販で買うとき、袋のどこを見ればいいか」にまとめました。
私たちのお米は、食味ランキングに出ていません
自社に都合が悪いことも書く、と決めているので、正直に書きます。
食味ランキングは産地品種銘柄の単位で出品されるもので、個々の生産者が出せるものではありません。ですから私たちは、扱っているお米について「特Aです」と言うことはできません。
代わりにできるのは、どこで、誰が、どうやって育てているかを具体的に書くことだと思っています。
ゆうきやが扱っているのは、長野県佐久市の市川裕也さんが育てたお米です。市川さんは、ご自身のお米づくりについてこう話しています。
私の田んぼでは、化学肥料は使わず、100%有機肥料で土づくりをしています。(中略)私がこだわっているのは、稲作に適した「粘土質の土」。正直に言うと、粘土質の田んぼは機械への負担も大きく、作業もしづらい。それでも、お米にとっては最高の環境なので、ここは妥協しません。
私は、「育苗が稲作の8割」だと思っています。だから、苗づくりには一番、時間をかけます。
出典:ゆうきや|市川さんのお米づくり(確認日 2026年8月7日)
こうした一つひとつは、ランキングの評価には出てきません。けれど、選ぶときの材料にはなると思っています。
まとめ
- 食味ランキングは日本穀物検定協会が毎年2月ごろに公表する、全国規模の食味の指標
- 特Aは「基準米(複数産地コシヒカリのブレンド)より特に良好」という相対評価
- 特A同士に順位はなく、産地品種銘柄の単位であり、毎年変わり、出品されていない米は評価されない
- 「特Aではない=おいしくない」ではない
- 目安として使いつつ、粘り・硬さ・使う場面という自分の軸で選ぶのが近道
出典
- 一般財団法人 日本穀物検定協会|米の食味ランキング(確認日 2026年8月7日)
- 日本穀物検定協会|令和7年産米の食味ランキングについて(確認日 2026年8月7日)
この記事を書いた人
お米便り編集部(株式会社ゆうき ゆうきや事業部)。長野県佐久市の生産者・市川裕也さんのお米を販売しています。編集方針と運営者情報はこのサイトについてをご覧ください。








